日 時 |
2024年6月15日(土) 14:00~17:00 ★終了しました |
講 師 |
荘司一歩(山形大学専任講師) |
テーマ |
「先史アンデスにおけるモニュメントのはじまりを問い直す ~ペルー北海岸の事例から~」 |
場 所 |
東京外国語大学本郷サテライト(対面方式) |
ペルー北海岸のクルス・ベルデ遺跡を調査地と決めた私は、2016年に第一次発掘調査を開始しました。しかし掘り進めてみると、この遺跡の年代が私の想定していたものと大きく異なっていることがわかりました。当初の研究テーマである形成期の居住地と神殿の関係について、古期に形成されたこの遺跡では論じることができません。
私は研究テーマを変更し、今までほとんど研究の進んでいなかった、古期におけるモニュメントの生成過程について、調査と研究を続けることにしました。
2017年の第二次調査の成果を加えて明らかになったのは、同遺跡のマウンド(盛土遺構)の形成過程が2時期に分けられ、その前後で、生態環境、資源の利用、マウンドの性格に大きな変化があったことでした。食料残滓などの廃棄物が積み重なるマウンドは、当初ゴミ捨て場としての性格を有しているに過ぎなかったものの、環境変化と資源利用の変化、ゴミ山の巨大化によって、粘土の床に覆われた建築物として扱われるようになります。また、埋葬を通じて人々をマウンドへと関連づける行為も行われるようになりました。この過程で人・物質・記憶を結びつける結節点として扱われるようになったマウンドはモニュメントとしての性格を獲得していったといえます。
古期のマウンドについての研究はまだまだ不足しています。今後私は、モニュメントを切り口として、古期から形成期へと至る道筋を研究していきたいと考えています。
(まとめ:浅川 研)
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