2019年9月の講座

「マヤ考古学における3次元化の実践」

日 時

 2019年9月21日(土) 14:00~17:00 ★終了しました

講 師

 寺崎 秀一郎(早稲田大学)

テーマ

「マヤ考古学における3次元化の実践」

場 所

 東京外国語大学本郷サテライト 5階 【アクセス】

【要旨】

 従来の考古資料の記録に関する技術的限界を克服するために3D技術を応用してコパン遺跡等で実験的な調査をしています。2017年はGPR調査、2018年はドローンを用いた空撮、2019年には全周カメラを用いた3D測量を行いました。GPR調査からは、コパン遺跡中心グループのプラサ床面が古典期前期には未調査エリアの東側まで広がっていたことを示す反応が得られました。コパン王朝成立期には、既に現在と同じような範囲でプラサが広がっていた可能性を示唆しています。GPRの有用性として重層的建築における埋蔵建造物の検知と修復・保存についても応用できそうです。3D測量はSfMによって作成される3Dデータの有効性検証を目的にアクロポリス下のトンネルで行いました。撮影機材はRICOHのTHETA SCとLED照明2灯と測量用のターゲットのみで、複雑に入り組んだアクロポリスのトンネル網の位置関係の把握に十分役立つデータを取得できることがわかりました。撮影範囲を広げれば、埋蔵建造物群の位置関係の再検証も可能となります。また、近赤外線+RGB画像を用いたスキャナーの場合、単体での運用というより据え置き型レーザースキャナーの取りこぼしエリアの補完としての利用などが考えられます。実際の調査現場で運用してみると、3D技術は一種類で完結するものではないことがわかります。求めるデータに応じて組み合わせて使用する必要があります。現地には調査の成果だけではなくプロセスも還元することが大切です。

(まとめ:武田未来)