2021年3月の講座

「マヤ文明史理解の鍵を握るマヤ南部地域」

日 時

 2021年3月20日(土) 10:30~12:00 ★終了しました

講 師

 市川 彰(名古屋大学人類文化遺産テクスト学研究センター共同研究員)

テーマ

「マヤ文明史理解の鍵を握るマヤ南部地域」

場 所

 オンライン開催(Zoom)

【要旨】

 中米のメキシコ、グアテマラ、エルサルバドルの太平洋岸と高地の「マヤ南部地域」には、多くの重要なマヤ遺跡が存在し、市川先生は、エルサルバドルを中心に、この「マヤ南部地域」で遺跡の発掘研究に従事されています。

 

 マヤ文明の起源には、マヤ南部地域主導説や、マヤ低地自生説がありますが、最近では、セイバル遺跡等の発掘によって前1000年頃からメキシコ湾岸やチアパス地方と交流をしていたことが分かりました。マヤ文明の起源を明らかにするには多様な地域間交流の様相を丹念に調べていくことが鍵となります。

 

 マヤ南部地域は、石碑と祭壇のセットやマヤ文明を特徴付ける石彫、文字や暦が、マヤ低地よりも早くから現れますオルメカ的石彫様式やピラミッドの存在、黒曜石や翡翠の産地があることを考慮するならば、マヤ文明の起源を考えるうえで、マヤ南部の重要性は変わらないと考えています。

 

 テオティワカンとマヤ南部地域の関連も、マヤ南部地域がテオティワカンに征服されたのではなく、マヤ南部地域がテオティワカンの影響を利用して自己の権力を高めていたとする説が有力です。

(まとめ:田代茂行)