日 時 |
2019年1月19日(土) 14:00~17:00 ★終了しました |
講 師 |
鹿又 喜隆(東北大学准教授) |
テーマ |
「エクアドル最古の土器バルディビアをめぐって」 |
場 所 |
東京外国語大学本郷サテライト 5階 【アクセス】 |
南米エクアドルの土器-バルビディアは、1970年代には新大陸最古の土器と考えられていました。その製作技術は高く、装飾の多様性があるにも関わらず、近くに祖型が無く、日本の縄文中期の土器と時期が一致しているので、B.メガーズ等が、日本の縄文漁労民が太平洋を渡ってエクアドルに土器を導入したとする「縄文・バルビディア仮説」を提示しました。その後、ブラジル・アマゾン川流域でより古い土器が発見され、エクアドルにおいてもバルビディアに先行する可能性のあるサンペドロ土器が発見されています。
K.ストサートによれば、エクアドルの先史文化は14C年代に基づき、10,000~7,000BPのラスベガス期、6,200~3,500BPのバルビディア期、3,500~2,800BPのマチャリージャ期、2,800~2,200BPのチョレーラ期、2,200~1,200BPのワンガラ期に分けられます。
先生は、2013年~2018年に、サンタエレーナ半島にあるラスベガス標識遺跡のOGSE80遺跡、バルビディア期のレアルアルト遺跡、ロマ・アタウアルパ遺跡を調査・分析されました。エクアドルでは、先ラスベガス期には両面調整技術や押圧剥離が見られましたが、1000年経ったラスベガス期には、不思議なことにこれらの技術が消えてしまいました。ラスベガスからバルディビア期の石器は、簡便ながら長期に安定した石器の技術的特徴を示し、沿岸の熱帯環境に上手に適応した姿と考えました。先生たちはその特徴を「トロピカルパッケージ」と呼びました。また、バルビディア土器やサンペドロ土器の付着炭化物が14C年代測定され、コンタミを排除して正確な年代を把握しようと試みています。また、石器の機能についても、使用痕分析で明らかになってきました。
最後に、日本の縄文文化とエクアドルのバルビディア文化のように、遠く離れた地域で、同時期に似たような現象が起きることを、文化的並行性と呼んで、注目しました。例えば、両地域に土偶が多いことなどですが、それらを比較することで、それぞれの特徴が良く分かりました。
(まとめ:田代茂行)
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