日 時 |
2022年5月21日(土) 13:30~15:00 |
講 師 |
佐藤吉文(南山大学研究員) |
テーマ |
「ティワナク研究の現在―SAIS、編年、その起源」 |
場 所 |
Zoom オンライン形式 ※レコーディング(録音)・引用等は不可 |
現在、「正面向きの神」を含むティワナクに特徴的な図像は「Southern Andean Iconographic Series」(南方アンデス図像共通群、SAIS)のなかに位置付けられ、ひとつの地域や文化ではなく、広い地域に巡らされた相互交流ネットワークによって成されたものと捉えられています。そのような視点からはティワナクにおける「正面向きの神」の成立をどう捉えられるでしょうか。
ティワナクの石彫群からみると、「正面向きの神」は最初から存在したわけでなく、「ポンセ像」製作後、徐々に「従者」を従えた中心性を獲得して完成する図式が成り立ちますが、問題はその出現時期です。
ワリ遺跡に近いコンチョパタ遺跡で人びとが大甕に描いた超人間的図像を手がかりにするとこの問題に取り組むことができます。ナスカとの接触以後作られ続けたそうした大甕に、ティワナク遺跡の「ポンセ像」のものとよく似た「正面向きの神」が描かれるためです。
「正面向きの神」のワリへの侵入時期を8~9世紀ごろとするこうした資料からは、ティワナク国家の成立を300年遅らせる新たな編年を主張することができます。しかし図像の出現と国家の成立が一致するとは限りません。この問題は今後のSAIS研究の最重要課題となるでしょう。
(まとめ:浅川 研)
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