日 時 |
2021年6月19日(土) 13:30~15:00 ★終了しました。 |
講 師 |
渡部森哉(南山大学教授) |
テーマ |
「ワリとカハマルカ」 |
場 所 |
Zoom オンライン形式 ※レコーディング(録音)・引用等は不可 |
カハマルカ文化は、前50-後1532年にペルー北高地に発展した文化である。高度な土器製作(カオリン土器)に特徴付けられ、それらの土器はどの遺跡でも地表で大量に拾うことができる。また、ワリ帝国やインカ帝国の支配下に入ったにも関わらず、中央集権的でない社会であったため国家と共存することができた。アンデス文化の土器は全て酒用であるが、カハマルカ文化の碗はスプーンとともに使用されたと考えられる。
渡部が2008年に発掘調査を開始したエル・パラシオは、100ヘクタールを超える大遺跡であり、ワリ帝国の行政センターである。建築、墓はワリ様式、土器の9割以上はカハマルカ文化のものである。ワリとの接触によりカハマルカ文化の土器も変化した。
ワリ帝国は、アヤクーチョのカンパナユック・ルミ大神殿が前500年頃に放棄された1000年後に誕生している。地方におけるワリ文化の証拠は、行政センター、墓、奉納に分類される。ワリ文化の土器やカハマルカ文化の土器には人物が多く表象されており、人物表象は多様な民族集団を示していると考えられる。北海岸でワリ様式土器とカハマルカ様式土器が共伴しており、ワリ帝国はカハマルカ経由で北海岸に進出したと考えられる。
ワリとカハマルカには、中央集権性/分節性、前社会からの不連続性/連続性、土器の限定性/普遍性、酒用の土器/碗などの点で対照性をみることができる。
(まとめ:金井由美)
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