日 時 |
2021年1月16日(土) 10:30~12:00 ★終了しました |
講 師 |
金子 明(メキシコ国立人類学歴史学研究所チアパス州センター教授) |
テーマ |
「ヤシュチランとイグレシア・ビエハ遺跡の調査」 |
場 所 |
オンライン開催(Zoom) |
メキシコでは考古学調査は社会に寄与すべき活動であると定義されていて国家機関である国立人類学歴史研究所が中心となって文化遺産の研究調査、修復保護、広報、教育が進められています。現在、192の遺跡が一般公開され、重要な観光資源となっています。メキシコ考古学の主流である石造都市遺構の調査での「発掘と修復は不可分」という基本原則は、日本でのメソアメリカ考古学のパイオニアである京都外国語大学の故大井邦明先生により1980 年代に紹介されたものです。今回改めて古代都市の遺構を発掘・修復して保存するメキシコ考古学の在り方を、チャパス州のヤシュチランとソケ文化のイグレシア・ビエハの両遺跡の調査の過程を写真で示しつつ最新の研究トピックを紹介します。
ヤシュチランはマヤ古典期後期を代表する遺跡の一つで、メキシコとグアテマラ国境のウスマシンタ川左岸に位置しています。約20年の間に40以上の発掘調査がなされました。ヤシュチランでは120を越える石碑、祭壇、リンテル(梁石)などのモニュメントが見つかっています。また、ここはマヤ文字解読の突破口となった遺跡でもあります。
イグレシア・ビエハはこれまでのメソアメリカ文明史ではあまり知られていない東西メソアメリカの中間に位置するテワンテペックの地峡の南に位置し、メソアメリカのどの文化圏にも類を見ない巨石都市遺跡です。「万物は卵から生まれた」というソケの創世記神話にかかわる直径2m以上の巨大卵彫刻の発見もあり、石切り技術がこの地域では独自に進化したようです。が、花崗岩の巨石をどう切り出したのかは石切りの道具が見つからないため未だ不明です。今後の研究課題はイグレシア・ビエハ衰亡の一因とも考えるテオティワカンとの関連を突き止めることにあります。最後に、先に述べた「メソアメリカ、考古学の基本的方法論」を紹介されたパイオニア・大井邦明先生に再び日本で関心がもたれることを望んでいます。
(まとめ:捧 倶子)
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