日 時 |
2020年10月17日(土) 13:00~14:30 ★終了しました |
講 師 |
松本雄一(山形大学准教授) |
テーマ |
「ペルー中南部の形成期」 |
場 所 |
オンライン開催(Zoom使用) |
長年チャビン・デ・ワンタルが中央アンデスの形成期(BC3000-50年)の中心的祭祀センター/神殿と考えられていましたが、クントゥル・ワシの調査で、その最盛期がチャビン(BC400年)よりも数百年古いこと(BC800年)がわかり、出土品や人骨からペルー北高地独自の発展が明らかになりました。その後チャビンの年代データの見直しで、その最盛期がBC800年と確定したので、どちらの発展が先か不明になりました。中心が複数になってしまったのですが、「中心に対する周縁」という視点は残ります。「周縁」である中央高地南部特産の黒曜石や水銀朱はアンデス全域に流通していましたが、その重要な拠点の一つがカンパナユック・ルミ(以下CR)遺跡です。BC1000-700年には、チャビンと類似した祭祀建築が建造され始め、チャビンの影響が中央アンデスに拡散したBC700-500年には、その影響を強く受けた物質文化と儀礼行為が見られますが、居住域の調査からは、神殿とは別の儀礼空間があったことがわかっています。CRは黒曜石の集散地で、各産地からここに集まった黒曜石がチャビンにも流入したと思われます。各地の神殿を中心に地域的な相互作用圏が成立し、地域の伝統と外来の影響との住分けと混交が進行し、BC800-700年ごろ汎アンデス的なチャビン相互作用圏が成立します。この過程でCRなどの主要センターはその圏内に組込まれますが、地域的な相互作用圏は独立して維持されていました。多様な相互作用圏を内包するマクロな総体を「チャビン現象」と捉える視点が必要でしょう。
(まとめ:谷田恵子)
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