日 時 |
2018年9月15日(土) 14:00~17:00 ★終了しました |
講 師 |
森下 矢須之(BIZEN中南米美術館館長) |
テーマ |
「誰も語らなかった古代エクアドル」 |
場 所 |
東京外国語大学本郷サテライト 5階 【アクセス】 |
BIZEN中南米美術館は、岡山県備前市にある。収蔵品は、メキシコからボリビアまで11ヵ国、紀元前4,350年から16世紀までの6,000年間の約2100点にも及び、展示替えも定期的に行いながら約200点を展示している。古代中南米文化をほぼ網羅しているのが最大の特徴である。
美術館では、エクアドルの土偶をモチーフにした人気のキャラクターのペッカリーがキャプション、すなわち作品解説を担当する。キャラクターが主観的に話すことで、最後まで作品に入り込むことができる。
エクアドルで古代文化の大部分が栄えたのは太平洋沿岸である。大規模ピラミッド等はないが、土器や土偶は、新大陸最古級のものが出土している。
アンデス文明に特有のものに鳴る土器・土偶があり、エクアドルが発祥の地の有力候補である。これまでほとんど研究対象とされてこず、BIZEN中南米美術館では、岡山県立大学と東京大学と共同で、さえずるボトルの構造を分析し、再現するプロジェクトを行っている。
鳴る土器・土偶は、笛玉と名付けた楕円形の空洞に空気が入って逃げていく時に音が鳴る。笛玉は、3,000年前の古代エクアドルのチョレーラ文化(BC1,200~BC100年)で作られたと思われるが、チョレーラ文化の前のマチャリージャ文化(BC1,500~BC1,200年)で既に笛玉の原理が分かっていた可能性はある(ただし証拠の遺物は未発掘)。
BIZEN中南米美術館の2100点ぐらいの土器の内で鳴るものは120点あり、全体の5%である。現在、日エクアドル外交関係樹立100周年記念プロジェクトが進行中である。東京大学総合研究博物館、岡山県立大学、備前焼作家と共に「古代アンデス文明の鳴るボトル・鳴る土偶研究プロジェクト」を立ち上げ、総合的体系的研究成果の学術的発表、エンターテイメント性の高い展覧会の企画展開、そして、地域振興として鳴る備前焼を作り、備前焼に新たな歴史を作ることを目標としている。
(まとめ・近藤 洋)
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