2024年10月の定例講座

「古代エジプト3000年の墓地を掘るーサッカラ遺跡最新発掘報告ー」

日 時

 2024年10月19日(土) 14:00~17:00 ★終了しました

講 師

 河合 望(金沢大学教授)

テーマ

「古代エジプト3000年の墓地を掘るーサッカラ遺跡最新発掘報告ー」

場 所

 東京外国語大学本郷サテライト(対面方式)

【要旨】

 テーベ(現在のルクソール)のネクロポリス(巨大墓地)の調査は約200年に及ぶ長い歴史があり、従来の新王国時代史はテーベの出土の豊富な資料を中心に考慮されてきました。

 

 サッカラ遺跡は、前3000年頃から古代エジプト史を通じで行政の中心であった都市メンフィスの主要な墓地で、これまでの発掘調査はサッカラ台地の上に造営されたピラミッド群や大型マスタバ墓をはじめとする初期王朝時代や古王国時代王族や高官墓の発掘調査が中心であり、20世紀末に新王朝時代の墓地の発掘調査が実施され、ツタンカーメン王やラメセス2世の時代の交換の墓が発見されました。今後サッカラの出土資料も合わせてよりバランスのとれた新王国時代史の再構築が必要と考え、2015年度からサッカラ・ネクロポリスにおける新王国時代の墓地の調査研究を開始しました。

 

 ドモルガンのサッカラ遺跡地図を基に最新科学技術を駆使して踏査した結果、新たに台地上に約10ヘクタールの新王国時代の墓地を確認すると共に東側斜面に新王国時代の墓地が存在する可能性が高いとの結論に至り、測量と物理探査、発掘を行った結果、グレコ・ローマン時代のカタコンベ(地下集団墓地)を発見、これを受け、サッカラ遺跡の発掘調査による古代エジプトの埋葬文化の変容を新たな調査目標とした。その結果、本来の調査目的であった新王国時代の墓を含む古代エジプト約3000年間の初期王朝時代からローマ支配時代にかけての様々な時代の墓を台地の崖際や斜面で検出することができました。

(まとめ:岡 誠治)