日 時 |
2018年10月20日(土) 14:00~17:00 ★終了しました |
講 師 |
坂井 正人(山形大学教授) |
テーマ |
「ナスカ地上絵研究の最前線:山形大学のナスカプロジェクトをめぐって」 |
場 所 |
東京外国語大学本郷サテライト 5階 【アクセス】 |
地上に描かれた地上絵は、ナスカ台地のものが知られていますが、アンデスでは、それ以前から地上絵が存在していました。例えば、前15世紀頃のカラル遺跡では人間の生首の地上絵があり、前10世紀頃のオユトゥン遺跡やリモンカルロ遺跡では、人間と鳥やジャガー、蜘蛛等の身体の部分がバラバラに結合された地上絵があります。前1世紀~後15世紀の動物や直線で構成されたナスカの地上絵はよく知られています。後16世紀のインカ時代でも、首都のクスコがピューマの形をしています。
ナスカの地上絵は、1920年代に土器の研究家であるアルフレッド・クローバー達によって発見され、1940年代にはパイロットによって動物の地上絵が発見され、更に、ペルー空軍のパイロットにより航空写真で撮影され、マリア・ライヘ等により実測図も作られました。
地上絵の傍らには地上絵に類似した図柄が描かれた土器や木材も転がっており、放射性炭素年代測定によって得られた年代から、地上絵が描かれた年代がナスカ期(前100年~後700年頃)であることが推定されています。
山形大は、2004年から地上絵の研究を始め、先ずは2002年に撮影された人工衛星写真(分解能62cm)を購入して、学生を使って地上絵を探し始めました。2012年10月には、現地にナスカ研究所を設置し、2012年~15年にかけては面状の人間の首の地上絵、ナスカの近郊で山の斜面に17頭のリャマの地上絵や24頭の動物の地上絵を発見しました。
ナスカの地上絵に関する疑問については、先ず何時頃作られたかですが、割られてそばに散布する大量の土器から推定すると、面状の地上絵は、前100年から後100年位、大型の線状の地上絵は、後100年から後700年にかけて作られています。地上から全体像が分かるかについては、地上でも全体像が推定できます、地上絵を作る手法については、小さい模型を作り、それを拡大していく方法が広まってしまいましたが、現地に小さい模型を作った形跡がなく、現在では、絵がうまい人が、目測で距離を測り、直線状の地上絵は、足を引きずって石を退かせて作ったと思われます。2000年間も地上絵が残った理由としては、元々ナスカ台地は水の浸食が少ない場所が選ばれており、数年に一回はクリーニングが行われているからです。地上絵を作った目的は、動物の地上絵は目印として作られ、直線上の地上絵は、豊穣の儀式を行う広場として作られました。
(まとめ:田代茂行)
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